公認会計士の新試験制度概観

・公認会計士の新試験制度(新公認会計士試験)概観
平成15年の公認会計士法改正に伴い、平成18年度(2006年度)から試験制度は変わります。そこで、具体的な試験日程や試験内容を説明する前に新試験制度を概観してみたいと思います。

1.一次試験の廃止
かつては二次試験を受けるのに相当する学力があるかどうかを判定するために国語、数学、外国語、論文からなる一次試験が行われていました。大学卒業者や短大卒業者、高専卒業者等は一次試験は免除されていましたが、免除者に該当しない人は一次試験から受ける必要がありました。

しかし、新公認会計士試験では、従来の一次試験に該当する学力を試すような試験は廃止されました。しかも、公認会計士試験には受験資格がありません。従って、学歴等に関係なく、誰でも公認会計士試験を受験できるようになったのです。つまり、高校生なども本試験から受けられるようになったのです。

2.短答式試験の変更点
一次試験が廃止されたので、受験生は全員短答式試験から受けることになります。短答式試験にもいくつか変更点があります。

まず、試験科目です。かつては「会計学及び商法」と曖昧に規定されていました。新公認会計士試験では、「企業法」、「監査論」などと試験範囲が明確に規定されました。また、最大の変更点として、短答免除制度が導入されました。一度短答式試験に合格すると、翌年から2年間、短答式試験が免除されるのです。従来は、論文式試験に受からないと、翌年再び短答式試験から受けなおさなくてはなりませんでした。

短答免除制度が導入されたことによって、一度短答式試験に合格すれば、その後は論文式試験の勉強に集中できるようになりました。勉強の負担が減り、合格しやすくなったのは間違いないでしょう。ただし、2年間の有効期間を過ぎてしまったら、もう一度短答式試験から受けなおさなくてはならなくなってしまいます。

なお、これはあくまで新試験の話であって、平成17年以前の短答式試験合格者は該当しないので、間違わないようにしてください。

もう一つ免除規定あります。有資格者等についての免除規定です。司法試験に合格した人は、短答式試験が全科目免除されます。税理士となる資格を有する者や、税理士試験において簿記論及び財務諸表論の2科目について合格している者は、短答式試験の科目免除該当者となります。具体的には、短答式試験のうち、財務会計論が免除されます。ただし、あらかじめ申請する必要があります。申請方法等については、公認会計士・監査審査会の「免除申請の手続きについて」というページを参照してください。

3.論文式試験の変更点
論文式試験にも大きな変更点があります。

試験科目に多少の変更がありました。試験科目の詳細については「試験の内容」の項で詳しく説明します。論文式試験の最大の変更点は、2年間という期限付きではありますが、科目別合格制が導入されたことです。新公認会計士試験では、1年で全ての科目に合格する必要はありません。全体で合格基準を満たしていなくても、科目別の合格基準を満たしてれば、その科目についての試験が2年間免除されます。従って、免除期間中に残りの科目に合格すればいいことになります。一年で全ての科目に合格する必要がないので、2年や3年に分けて合格するということも可能になってきます。

論文式試験にも有資格者等についての一部科目免除規定があります。たとえば、不動産鑑定士試験に合格した者は経済学又は民法が免除されます。税理士となる資格を有する者は租税法が免除されます。司法試験に合格した者は企業法及び民法が免除されます。ただし、あらかじめ申請する必要があります。

4.業務補助
合格後の話ですが、業務補助についても触れておきます。公認会計士になるためには、2年間以上、公認会計士または監査法人を補助すること(業務補助)等が必要になります。新制度では、業務補助は公認会計士試験合格の前後を問わないことになりました。従って、既に業務補助に従事していた者は、合格後に改めて業務補助に従事する必要がなくなりました。

5.まとめ
全体として、以前よりも試験が簡略化された印象があります。また、免除制度の導入によって、以前より受験生の負担が軽くなったように思います。合格者の数も増え続けるようですし、以前よりも合格しやすくなっていると思われます。

詳しくは、公認会計士・監査審査会のHPをご覧ください。変更される場合もあるので、出願前には必ず確認するようにしましょう。
http://www.fsa.go.jp/cpaaob/

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